U-M Japanese Family Health Program: Clinical Services: Obstetrical Information
妊娠中によくある不快な症状
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この章では、妊娠中に起こりやすい不快な症状について解説し、こうした症状を和らげ、妊娠期間を楽に過ごせる方法にも言及し ています。長い妊娠期間をじょうずに乗り切れるよう、不安や気がかりな点があれば、主治医に相談し、適切なアドバイスを受けてください。
腰痛
腰痛は、妊娠中の子宮の重さを支え、しかも身体のバランスを取るために、背中をそらせた不自然な姿勢を取りがちなことから起こります。背中や腰の痛みを和らげるには、次の方法を試してみましょう。
かかとの低い、安定した靴を履く
重い物を持ち上げない。 物を持ち上げる時には、腰を曲げず、一旦しゃがんだ姿勢から足の筋力を使って立ち上がる。
妊娠用サポートやガードルを着用する。
前章で言及した骨盤体操を実行する。
乳房の手入れ
妊娠中、乳房が重く張って痛みを感じることもあります。胸部の不快感を和らげるため、ブラジャーは肩紐の幅が広く、伸縮性の少ないものを選びましょう。
妊娠中の風邪、インフルエンザと薬の使用について
妊娠中風邪やインフルエンザにかかると、抵抗力が低下しているため、症状が重く直りにくくなりがちです。症状が長びく場合は、次の方法を試してみましょう。
風邪
風邪の症状は、頭痛、喉の痛み、咳、鼻づまり、タンがからむなどです。
- 一日にコップ8〜10杯の水分をとりましょう。水はもちろん、ジュース、アイスキャンディー、スープなどで水分補給をすると、食欲のない時には、多少の栄養源にもなります。
- 食欲のない間は、3回の食事にこだわらず、1回の分量を減らし、少量で回数を多くして食べてみましょう。
- 休息を十分取りましょう。また、頭を高くすると鼻水が出るのを防ぎ、呼吸が楽になります。
- 一日1回は、体温を測りましょう。100.6F (38.1C) 以上の熱が24時間以上続いた場合、また、緑色や黄色のタンが出たり、痛み、悪寒、ほてりが24時間以上続く場合にも主治医に連絡しましょう。
- 加湿器を使うとタンが出やすくなります。加湿器がなければ、お湯を沸かし、頭や肩が濡れないようタオルで覆って、蒸気を吸入したり、気化器から吸入するのもいいでしょう。
- 副鼻腔周辺の痛み (眼の回りから頬骨にかけて) がある場合には、温かいタオルを当てるなどして、鼻づまりを楽にしましょう。
胃腸障害を伴うインフルエンザ
妊娠中インフルエンザ (吐き気、嘔吐、下痢、胃腸の痛みを伴うもの、但し、生理痛様の下腹部痛、腰痛は含まない) にかかった時には、十分な栄養が摂れるよう配慮が必要です。
まず、胃腸を休めるには、流動食が最適です。お腹に優しいメニューとして、清涼飲料水、水、ゼリーコンソメスープ、お茶などを試してみましょう。
症状が落ち着いてきたら、消化のよい固形もの (トースト、クラッカー、シリアル、チキンヌードルスープ、バナナなど) から少しずつ試していきましょう。
胃腸の痛みとは違った、子宮が収縮するような痛みがあれば、主治医か、Women's Hospital バースセンター (病院の陣痛/分婉室) に連絡をとってください。
市販薬
症状がひどく薬が必要な場合、下記の市販薬は胎児への安全性が確認されています。
速い減量プロテインシェーク
- 鼻づまり Sudafed
- 咳どめシロップ Robitussin, Vicks
- 痛み、100.4F度 (38度C) 以上の発熱 Tylenol (一般名 Acetaminophen)
- 24時間以上続く下痢 Kaopectat
いずれも説明書をよく読んでから服用しましょう。
便秘
妊娠中は、ホルモンの変化だけでなく、子宮が胃腸を圧迫するため、便秘になりがちです。便秘の解消には、次の方法を試して見ましょう。
- 毎日水を8〜10杯飲む
- 新鮮な生野菜、果物を欠かさず食べる
- ブランシリアルなど繊維質を多く含む食品をとる
上の方法でもがんこな便秘が続く場合は、主治医に相談してみましょう。浣腸や下剤は絶対使用しないこと (流産につながる危険性があります)。
疲労
妊娠初期や後期は、特に疲労しやすいものです。日中でも、できるだけ横になって休息を取りましょう。夜間、寝苦しかったり、夜中にしょっちゅう眼が覚めるようなら、次の方法を試してみましょう。
- 日中充分な水分を摂り (6〜8杯)、夕方からは水分をなるべく控える
- 夕方以降はカフェインを控える
- 疲れすぎない程度に、毎日軽い運動をするよう心がける
- 体操やテープを聞くなど、リラックスしやすい環境造りを心がける
- 温かいお風呂でくつろぐ
頻尿
胎児の発育に従い膀胱が圧迫されるため、どうしてもトイレが近くなります。膀胱炎の予防には、トイレへ行くのをがまんしないこと、外陰部を清潔に保つことが大切です。排尿時に痛みや熱感があったり、血尿や腰痛のある時はすぐに主治医に相談しましょう。
痔
胎児の重みによる圧迫や、排便時のいきみが原因で、肛門周辺の血管が肥大することがあります。こうした症状からくる不快感を和らげるには、次のことを実行してみましょう。
- 長時間便座に座らない
- 便秘に注意し、重い物を持ち上げないようにする
- お風呂または水浴の後、肛門周囲にワセリンを塗付する。痔が出血したり痛みがある場合は、主治医に相談し、塗り薬や治療について相談しましょう。
こむら返り
痛みの評価スケール
こむら返りは、血液循環の変化、足の神経の圧迫、カルシウム不足などに関係があります。こむら返りが起きた時の応急処置をいくつか揚げてみましょう。
- 歩いてみる。最初は痛くても、痙攣が徐々におさまってくる
- 膝をまっすぐにして立ち、つま先を上に向ける。この時膝を曲げないこと
- 強いこむら返りが起きた時には、爪先を上にむけ (足首を上に曲げる) ふくらはぎの筋肉を伸ばす
- かかとの低い靴を履く
- カルシウムの摂取量を増やす。栄養の取り方の章を参照
仕事で、長時間立ちっぱなし、または歩きまわることが多い場合:
- かかとの低い靴や底が平らで、履き心地のいい靴を選ぶ。
- 家庭での仕事量を減らす
- 立っている間は、片足の膝を曲げて足台にのせるなど、背中にかかる負担を軽くする。
- 仕事場の環境などで気がかりなこと、また妊娠中どの時期まで仕事を続けて差し支えないかなど、主治医に相談してみましょう。
気分が激変しやすい
妊娠中は、ちょっとしたことで気持ちが不安定になりがちです。これはホルモンの変化や、母親になるという新たな責任に対する不安感から来るものです。自分の気持ちや、気がかりなこと、また今後予測される問題点など、気軽に主治医に相談してみましょう。
つわり
主な症状は吐き気と嘔吐で、通常、妊娠して初めの3ヵ月ごろが最悪で、ほぼ半数の妊婦に見られます。吐き気は、朝目覚めたときが最悪という訴えが最も多く、時間に限らず一日中あるという場合もあります。
つわりの原因は、まだ解明されていませんが、胎盤でつくられるヒト絨毛性ゴナドトロピン (HCG) の数値が高いことに関係するようです。このホルモンは、妊娠初期の3ヵ月ごろ最高値に達し、つわりもこの時期に最もひどくなります。
妊娠4ヵ月頃をさかいに、つわりの症状は軽くなります。症状がひどい場合は、次の方法を試してみましょう。
3にきびプロアクティブソリューションのステップ処理
- 食べたい時に食べたい物を食べる
- 朝起きたらすぐ20〜30分以内に、ベッドでクラッカーやトーストを (全粒粉) を食べる。この時、水分はとらないこと。
- 吐き気をもようした時は、すぐに台所から離れる。妊娠中は、ある種の匂いに過敏になり、ちょっとした匂いの変化でも吐き気をもよおします。このため調理の時の匂いが苦痛で、でき上がりの食事を出してもらえれば、何とか食べられるということもあります。
- 1日に食事を3度とるかわりに、4〜6回に分け、炭水化物を中心にした食事に変えて見ましょう。食事と食事の間隔を長く空け過ぎ、空腹状態や低血糖状態になると、吐き気をもようしやすくなります。
- 油っぽいもの、揚げもの、香辛料が強く辛いもの、匂いの強いものは避けましょう
- 食事中の水分摂取をできるだけ控え、代わりに食間に水分を多くとる工夫をします。また、間食にはアイスキャンディーやゼリーなど、食べやすく水分の摂りやすいものを選びます
- 熱々のものや、よく冷やしたものを食べ、温度でごまかすことで、吐き気を抑えられるか試してみましょう
- マッシュポテト、ご飯、熱いシリアル、バニラミルクシェイクなど、味が薄く無色の食品を試してみます
- 吐き気をもよおす前に、食べるようにします。定刻に吐き気が起きる場合は、その30分前に食事をすませます。吐き気を抑えるために、食事を抜くのは逆効果で、胃が空っぽだと返って吐き気がひどくなります
- 朝起きがけに、マウスウオッシュで口をすすいだり、さっぱりした味の歯磨きで歯を磨きます。口臭が吐き気を誘発するという例が多くあります
- 疲労やストレスを避けること。 これも吐き気の原因になります
- 妊娠用ビタミン剤で吐き気が起こるなら、いつたん飲むのを止め、妊娠3ヵ月以降に服用を再開するのもいいでしょう
つわりが原因で、胎児の発育に悪影響が出るということは、まずありません。妊娠3ヵ月頃までの胎児は、わずかな栄養でも正常に育ちます。一般に、つわりは健康な妊娠の証しともいわれます。
ごくまれに、妊娠3ヵ月過ぎで、嘔吐の回数がますます増えたり、つわりの一般症状がさらに悪化する、ということがあります。つわりがひどく、食べたらすぐに吐いてしまうというほどであれば、主治医に相談してみましょう。
性交
妊娠中でも、ほとんどのカップルは性交を続けているのが普通です。妊娠中の性欲については、妊娠前と変わらなかったり、増加または減退する場合もあり、個人によりさまざまです。性交を不快と感じる時は、異なった体位を試してみるのもいいでしょう。オルガスムスは、子宮の収縮を起こすこともありますが、胎児への影響はありません。収縮が継続したり、出血や破水が起こった場合は性交は止め、主治医に連絡をとりましょう。
ストレス
家庭や職場でのストレスや不快感はできるだけなくしましょう:
- 日に何度か休憩を取る。頭を机にのせて休んだり、足の位置を高くしたるして、できるだけ楽な姿勢を取る
- ソファーがあれば、昼食時や休み時間に左側を下にして休む
- 机の下に足置きを置いたり、一番下の引き出しに足を乗せる
むくみ
妊娠後期には、足全体がむくみ易くなります。むくみの解消には、次の方法を試してみましょう:
- 足を高くするよう常にこころがける
- 日に数回、左側を下にして休む
- 日にコップ6〜8杯の水分をとる。(水分の摂取量を増やすと反対にむくみは減少する)
おりもの
妊娠中は分泌物が増え、おりものの量が増えるのが普通です。不快感があれば、次の方法を試してみましょう:
- コットンの下着を着用し、締め付けるようなきつい服装は避ける
- 生理ナプキンやおりもの用の薄いナプキン (パンテイライナー) を使用する
- 自分で膣の洗浄をしないこと。かゆみ、熱感、悪臭、また正常と異なるおりもの (血液がまじる、黄色、茶色、緑色、カテージチーズ状) が出る場合は、すぐに主治医に相談しましょう。
静脈瘤 (拡張蛇行静脈)
妊娠中には、静脈瘤が起きやすくなります。これは、骨盤内や足の血管を胎児が圧迫をするためです。症状の緩和には、次の方法を試してみましょう:
- サポートタイプのストッキングをはく
- 日中でもできるだけ休憩をとる。左側を下に横になると、血管の圧迫を防ぐことができる
- 長時間立ち続けたり座り続けたりしない
- 座る時は足を組まない
- 休憩中は足を挙げる
胸焼け/消化不良
胸焼け/消化不良は、妊娠中のどの時期にもありますが、胎児が大きくなる妊娠後期に特に起き易くなりす。一回の食事の量を減らし、食べる回数を増やすようにしましょう。また、消化に悪い食品は避け、制酸剤を服用するものいいでしょう。ただし、妊娠中は重炭酸ソーダ (ベーキングソーダ) を成分とした薬は避けるべきです。
靭帯の痛み
妊娠中、子宮が大きくなるにつれ、子宮を支えている靭帯が牽引され伸びていきます。このため、鼠けい部のあたりに突然鋭い痛みを感じることがあります。体位を変えたり温めたりすると楽になります。
坐骨神経痛
坐骨神経痛は、腰のあたりから足にかけて広がる痛みです。長時間同じ姿勢でいたり、胎児の体位が変わったりすることで痛みがひどくなることも、いくぶん痛みが和らぐこともあります。
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