被告人は、かわいらしいおばあちゃんで、飼い犬の登録と狂犬病予防接種をしていなかった狂犬病予防法違反の罪と、その犬が近所の人にかみついてしまった過失傷害の罪に、それぞれ問われています。過去の記事はこちら
この日は、おばあちゃんを取り調べた警察官への証人尋問と、被告人質問が行われました。ついに、かわいいおばあちゃんが話す姿を、この目で見られます!
私はドキドキしながら法廷へと向かいました。
【注意事項】
この記事は、私が裁判傍聴で必死こいて書き殴ったメモを元に、なんとか記憶を辿って書いたものです。もしかしたら、実際に裁判で起こったことと、全然違うかもしれません。
また、私に法律の知識はありません。
偏った思いこみや思想が文章に紛れ込んでいるかもしれません。極力避けるように努力します。ご了承下さい。
この記事が事件の真実を言い当てることなどございません。
無いとは思いますが、無断転載はご遠慮下さい。引用は法律を守ってご自由にどうぞ。
リンクはご自由にどうぞ。ただし、画像等への直リンクはおやめ下さい。
登場人物のイニシャルは本名と無関係です。
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《かわいいおばあちゃんめぐって大混乱! 狂犬病予防法ってナニ?(3)》
【狂犬病予防法違反】【過失傷害】『審理』
名古屋簡易裁判所403号法廷
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☆★登場人物★☆
Nさん(被告人。在宅。60〜70代ぐらいの女性。小柄)
弁護人(40代ぐらいの女性。小柄。陽気な印象)
検察官(50代ぐらいの男性。長身。声が高い)
裁判官(40代ぐらいの男性。四角い顔。キッチリ七三分け)
Xさん(40代ぐらいの女性。Nさんの親族)
Yさん(50代ぐらいの男性。Nさんの主治医。外科の開業医)
Pさん(20〜30代ぐらいの男性。Nさんを取り調べた警察官)
Aさん(被害者)
クッキー(Nさんの飼い犬の正式名称………の仮名)
ポチ(Nさんが飼い犬を呼ぶ時に使うあだ名………の仮名)
今井亮一さんがご著書で、「レアな罪名」として、軽く触れておられる事件の続報です。この「裁判中毒」という本はとても面白かったです。初心者向けですが、マニアの私にも新鮮な情報がつまっており、著者のこだわりが感じられます。
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「裁判中毒―傍聴歴25年の驚愕秘録」(今井亮一・角川ONEテーマ21)
納得できない交通違反の取締りを受けたら、公務員批判をしてゴネないで、今井さんのホームページをお読みください。自分の置かれている状況を再確認できるでしょう。
今井亮一の交通違反相談センター
今井亮一の交通違反バカ一代!
この日は検察官から証拠請求がありました。
[検察官の証拠請求]
甲35、36号証
P証人
後から分かったのですが、甲35、36号証は、ポチ(クッキー)の手綱の写真です。前回公判にありましたとおり、検察側はポチの手綱を、写真に撮ったそうです。
弁護人:「いずれも関係性不明ですので、必要性がありませんので、不同意します」
裁判官:「必要性がない………………………? 必要性がない?」
検察官:「本件では、握持状況等が重要な争点となっておりますので、必要性はあると考えます。弁護人は伝聞証拠性を争わないということですので、認めていただきたい」
弁護人:「関係性と伝聞性は違うので、公訴事実との関連、具体的な事実等を釈明願います」
(略: しばらく揉める)
裁判官:「P証人は?」
検察官:「甲36を踏まえた上での補強尋問をします」
裁判官:「弁護人、証人についてご意見は?」
弁護人:「もちろん異議あります」
裁判官:「検察官、今日はP証人、在廷されてるんですか?」(←ブラックジョーク? なかなかセンス良いです)
検察官:「はい」
裁判官:「甲36号証は実況見分………………? まずは証人いるなら先に証人尋問して、後で必要あるなら甲35、36を取り調べてはどうですか?」
検察官:「手綱の形状について立証するので、先に甲35、36を取り調べて下さい」
弁護人:「公訴事実との関係性の説明はどうなりました?」
検察官:「公訴事実第2について、手綱が輪っかになっておりまして、持ち手の如何によって、手から離れるものか離れないものかの立証に、必要となります」
弁護人:「であるなら、立証主旨を限定していただかなければ」
裁判官:「検察官、そうすると手綱の形状が過失傷害に関係してくると?」
検察官:「形状でよろしいかと。それによって本件過失が起こりうるか立証可能となるわけでございます」
裁判官:「まあ、前回もありましたが、公訴事実に手綱は出てきてて、検察官がおっしゃるのは、公訴事実の『手綱を確実に把持せず、左手で握持し、右手でブラシをかけたため、本件過失に至った』、ここにかかってくる?」
検察官:「はい」
裁判官:「弁護人よろしいですか?」
弁護人:「はい」
把持(はじ)とか握持(あくじ)とか、わけの分からん言葉ばかりで、とても困りました。こういうときは、カタカナでメモして、後で調べます。
たぶん、検察官は、「手綱を片手で軽く持っていたから過失傷害の罪が成立する」と、主張しているものと思われます。
裁判官は、立証主旨を過失傷害に限定した形で、追加の証拠請求を認めました。どうにか両者の折衷案に落ち着きました。
でも、どうなんでしょうね。いつもいつも折衷案に落ち着いてしまうのは…。時には、ダメなものはダメと、思い切った判断が必要な場面だってあります。
たぶん、レアケースがややこしく揉めているので、裁判官は困っているのだと思います。
[検察官立証]
甲35号証…手綱の持ち手が輪っかになっていることを証明する写真撮影報告
書。手首、または手のひらに通す。さらに二重に巻くこともできる。
甲36号証…持ち手の拡大写真。
P証人(がっちりした体格の若い男性。短髪)
被告人質問
続いてPさんへの証人尋問です。Pさんは、当時被疑者だったNさんを取り調べた、警察官です。
宣誓にあたって裁判官は、「前にも証人としてきていただきましたが、あらためて宣誓をお願いします」と言いました。この裁判はどのぐらい続いているのでしょうか…?
それでは、検察官からの主尋問です。
検察官:「平成19年1月**日、被告人の供述調書作成時、被告人の手綱の握り方について、乙2号証の『しゃがんだ状態で右手でクシ、左手でポチの綱を持っておりました。左手を緩くしていたので…』と、どのように証言していましたか?」
弁護人:「伝聞にかかる…」
裁判官:「ま、証人の…、ま、あの…、誘導してはいけませんので、証人に」
弁護人:「証人に被告人の供述を訊くのであれば、321条の再伝聞に当たります」
検察官:「被害者が証人に述べていたので、証人に訊くものです」
弁護人:「裁判所におきましては、内容の立証に使わないように、配慮していただきたいとお願いしておきます」
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